2013/04/20

ツルは翔んでいく ”ЖУРАВЛИ”



むかし描いた古い鳥の絵(F10号)


ソビエト連邦時代の古い歌「鶴」を聴くと、
悲惨だった敗戦の頃を想い出す。
私は小学校一年生だった。
「大人になったら兵隊さんになるんだ」
と信じていた。

空襲の夜の闇、防空壕の入口で、
サーチライトの直線の灯が照らし出す
B29爆撃機の群れに果敢に一機で立ち向い
無惨に撃ち落とされる戦闘機を見た。
小さな火が流れ星の様に儚く消えて行った。
神戸の空が赤く染まっていた。

日の丸の小旗を振って出征を見送った
近所の大人達は帰って来なかった。
そして、父も帰らなかった。


いつの世も「国益」を声高々に叫び、
GDP世界3位を維持するなどと煽る経済至上主義者に
大衆は犠牲にされる・・・。


「ツル」           作詞:R.ガムザトフ
               作曲:Ya.フレンケリ

時々、私は兵士たちのことを思う
血まみれの戦場から帰ることの無かった彼らのことを
兵士たちは、大地で眠りについたのではなく
白い鶴に姿を変えたのだ、と

あれからずっと今も彼らは飛び続け
私たちに空から話しかけている
そのせいではないだろうか、空を見上げて
幾度となく悲し気に私たちが押し黙るのは?

空を飛んで行く 疲れたくさび形の群れが
夕暮れの霧の中を飛んで行く
その列の中にある小さな隙間は
もしかすると、私が入る場所かも知れない

いつの日か私も鶴の群れと一緒に
この青灰色のもやの中を飛んで行く日が来る
空から鳥のように声をあげながら
地上に残る人々みんなと別れて行くのだ




ソ連邦で最も有名な歌手マーク・バーンズ(リンク)が歌う
この”The Cranes"は、コーカサスの古代戦士を称えた詩を基に、
第2次世界大戦で亡くなった兵士に捧げられた。

バーンズは、この歌を録音した2ヶ月後にこの世を去った。
彼の葬儀にはこの歌が演奏された。


動画は、1957年、ソビエト映画「鶴は翔んでゆく」
 ”ЛЕТЯТ ЖУРАВЛИ”  (The Cranes are Flying )
この映画は第11回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得した。
ビデオが出ているので観たいと思っている。






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