2012/08/14

アナトリーヴェデルニコフを聴こう。





父を銃殺刑で失い、母を強制収容所送りで失った
ヴェデルニコフの波乱に満ちた生涯(リンク)を想う。

アナトリー・ヴェデルニコフ(Anatoly Vedernikov)の
バッハ「パルティータ6番」ホ短調の演奏を聴こう。
グレン・グールドのバッハも素晴らしいが、
ヴェデルニコフの悲劇的な生涯がオーバーラップして、
その透明感ある音が増幅し僕の心を揺さぶる。
Bach Partita No.6 in E minor, BWV 830

売名のため演出された容姿や奇異な行動などで、
販売促進に励む自称アーティストが多い西側の音楽界。
しかし、ヴェデルニコフは晩年に至るまで、
ペレストロイカ以前の国家に演奏家としての活動を制限され、
モスクワ音楽院の一教師として生涯を閉じた。

彼の演奏する映像が殆ど現存していない事に対し、
「自分にはレコードがある。」と語ったと伝えられる。
誇りに満ちた真の芸術家の言葉が胸を打つ。

同じ様に国家に翻弄され海外での演奏を制限されていた
グリゴリー・ソコロフの演奏にも感じる。
抑圧を耐え偲んだ芸術家のみが醸し得る崇高な精神性。
ロシアの音楽家達は素晴らしい。


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