2012/05/21

ジネット ヌヴーの音楽を、君は知っているか?



Gluck: "Melodie" from the Opera "Orfeo ed Euridice"

グルックのオペラ「オルフェオとユリディス」から精霊の踊り。
第2幕第2場、天国の野原で精霊たちが踊る場面で
演奏される楽曲をヴァイオリニストのフリッツ クライスラーが
ヴァイオリン用に編曲した「メロディ」と呼ばれる名曲。

Violin : Ginette Neveu(ジネット ヌヴー)
1938年の録音、19才のジネット ヌヴォーの演奏。
微かに聴こえるSP盤の回転と針の音に痺れる。



最も好きなヴァイオリニストは?と聞かれたら、
迷う事無くジネット ヌヴーと答える。
僅か30才と言う若さでこの世を去って逝った、
その美貌に相応しい最期ゆえかも知れない。

まだ、僕がヴァイオリンを習っていた中学生の頃。
敗戦で全てを失った日本は文化に飢えていた。
海外の偉大な芸術家が次々と来日して名演奏を聴かせ、
打ち拉がれ飢えた日本人を励ましてくれた。
教養人は食料よりも高尚な音楽を強く求めていた。

1951年、名ヴァイオリニスト:ユーディ メニューインが、
アメリカの親善大使として来日、日比谷公会堂で演奏した。
音の悪い真空管ラジオでしか聴けなかったが、
本物のヴァイオリンの音やコンサートの迫力を僕は知った。

1953年、若手音楽家の登竜門として知られる、
ロン・ティボー国際コンクールを創設した
名ヴァイオリニスト:ジャック ティボーが来日のため
搭乗していたエールフランス機がアルプスに激突。
ジャック ティボーがこの世を去った。

1949年、エールフランス機の事故で命を落とした
天才ヴァイオリニスト:ジネット ヌヴーの名を、
ティボーの死を悼む僕の先生が悲しそうに教えて呉れた。
ジネット ヌヴーも同じ様に飛行機事故だったと・・・。

ジネット ヌヴーのヴァイオリンを聴いたのは、
後になって高校の図書館にあった78回転のSP盤だった。
こんな凄い音楽を奏でるのは到底無理だと、
僕は挫折しヴァイオリンを習うのを止めてしまった。
まだ名演奏のSP盤を手に入れるのが難しい時代だった。


ジネット ヌヴーに付いては下記のサイトが詳しい。
ぜひ、一読することをお勧めする。
きっと、あなたも魅了されてしまうだろう。

また、唯一残されている貴重な映像(リンク)
演奏する姿がYouTubeで観る事が出来る。

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4 comments:

S.K said...

keiji様
ヌヴーの生涯を読みました。凄い女性ですね。
演奏を聞いてみたのですが門外漢の僕には曲が良いのか、演奏が素晴らしいのかが判然としません。ただ好きになりました。是非CDを入手してみたいです。
何分、朝比奈隆とカラヤンの違いが分からないほどの音痴
ですから。
いつも、勉強になります。ありがとうございます。

pepekeiji said...

S.K.さん、嬉しいコメント、ありがとう。

ココで僕が、親しみ易いクラシック音楽を紹介するのは、
本物の音楽に触れて欲しいからです。

また、演奏家やオーケストラに対しても、
日本ではブランド志向とオタク志向が強く
難しい講釈を語る事が音楽を知っている事だと誤解したり、
有名な演奏家だから凄い音楽だと誤解しがちです。
もっと気楽に
音楽を楽しんで欲しいと願っています。

演奏家の持つ容姿や雰囲気は音楽の一部です。
ヌヴーの激しい感情重視の演奏や天才的テクニック、
チャーミングな姿は僕の好みです。

ろしなんて said...

音楽は無知ですが、とても楽しませていただいています。
話しが戻りますが、特にベターニアのラグリマは心引かれました。
国内では、ちあき なおみ の歌が好きです。

pepekeiji said...

ろしなんて様

ベターニアのラグリマ、滲みる唄ですよね〜。
お気に召して頂けて良かったです。

ポルトガルのファドや南米のフォルクローレ、
クロアチアなど東欧の哀愁を帯びた唄が大好きです。
民族は違っても人の心は同じだと強く感じます。
日本では知られていない素晴らしいアーティストや唄を、
紹介していければと思っています。
お楽しみ頂ければ幸いです。

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