2014/05/18

紙芝居「空海」の絵。No.5「出家・苦行」


771cm x 36.5cmと横長の画面を2枚構成にしてみた。


子供の頃、田舎の私の実家では「お大師講」が催されていた。
毎月21日、お大師さま(空海)を拝む集まりである。
終戦後で甘いお菓子など無い時代だったから、
祭壇にお供えされたお菓子や御馳走が子供の私の興味だった。
その日だけ床の間に飾られる「大師座像」の掛け軸が、
私にはお菓子に見え、今も印象に残っている。
まだ、「托鉢僧」が玄関先に現れる様な時代だった。

*大師講=真言宗の信者が多い私の田舎の風習。
 弘法大師「空海」が入定された3月21日に因んで、
 毎月21日に般若心経を読経し会食する集まり。

「空海」の修行時代を本で読むと、
嵐で荒れ狂う室戸岬の強風の中で座禅し、
冬は凍える手で野草を摘んで飢えをしのいだと言う。
衣は破れ、托鉢に立っても追い返され、
子供達には石を投げられたと書かれている。

しかし、
そんな「苦行」する姿を絵にするのは私は嫌だ。
成功した成金男が苦労時代を得意そうに語る様で、
通俗的で低俗な成功談になってしまう。

などと言い訳しても、
まったく厳しさの感じない甘い絵しか描けない
自分自身を嫌悪する・・・

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