2014/02/02

黒いパイプ。煙の向こうに、あの頃の君がいる。

dunhill Gr.4 / 4110 "Bing Crosby" 
長いシャンクとステムが粋なビング・クロスビーが3本に増えた。
(この4110 Bing Crosbyは、ダンヒルが "The White Spot "に変わる直前の
Shell Briar: 2008 / 2010/Bruyere: 2010年製の新品。
ミラノの"Al Pascia"に2010年製Cumberlandが一本残ているが、
もう世界中で探してもGr.4は残っていないかも。)


黒いパイプは夢を見させてくれる。
銀の帯を巻いた黒いシェル・ブライヤーや黒檀の
ビリヤード型のパイプが好きだ。


黒いパイプが 
遠い想い出を奏でている
静かに 静かに
漂う煙の中に
あの頃の僕がいる

黒いパイプが
遠い昔の恋を語っている
優しく 優しく
煙の向こうに
あの頃の君がいる


灰色の波が打寄せていた
君はピーコートの襟を立てて
バス停に立っていた
田舎のバスは3時間に一本しか無い
僕はベレットGTのドアを開け
送りましょう、と誘った

クルマに乗った君が
どうぞ、と差出したタバコは
「いこい」だった
安物の「いこい」を喫煙する美しい女
それは新鮮な驚きだった
僕は恋に落ちた

いや 持っていると
僕はポケットから
当時は 洋モクと呼ばれた
高価なアメリカのタバコ 
赤い袋の「ポールモール」を取出し
火を付けた

あの頃の僕は
まだ それが下品で野暮な振る舞いと
解っていなかった




2 comments:

mizuno masao said...

Keiji 様

こんな文章を見つけました。

ミシェル・ウエルベック ‏@HOUELLEBECQ_JP
法律学において伝統的に個人の住居と同等の扱いを受けている車は、ペットを飼う人間や喫煙者にとっては、二十一世紀初頭において残された最後の自由なスペースのひとつ、〈一時的自治領〉の最後のひとつなのだった。―『地図と領土』

No car、no life!mizuno masao

pepekeiji said...

Mizuno Masao 様

フランスの「ミシェル・ウエルベック」。
恥ずかしい限りですが、私は知りませんでした。
私は、1960年代のカミユやサルトルの時代で
思考が停止していた様です。

早速、ご紹介頂いたアドレスでTwitterを読みました。
とても、とても興味を感じてしまいました。
翻訳されている著書は全て読みたくなりました。
.
素晴らしい作家・詩人をご紹介下さって有り難うございます。

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