2013/03/06

ラタキアの香りは大人が微かに漂わせる香りだ。




昔、外国エアラインのファーストクラスでは食事の後に
ブランディなど食後酒と共にトレーで葉巻が出されていた
銘柄もサイズも解らないままに選んでいたが、
凄い大人になった気分で私は嬉しく得意になって燻らせていた。
今思うと恥ずかしくなる様な姿だったのだろう。
でも、それがハバナ葉巻を愛好する切っ掛けとなった。

そして今、葉巻達はヒュミドールで眠り続けていて、
すっかり私はパイプ愛好者になってしまった。
葉巻には無いラタキアの強い芳香に魅了されたからだ。
ラタキア50%、ブラウンバージニア50%の
イングリッシュ・ミックスチャー「コモンウエルス」を
冬の日差しを浴びながら燻らすが何よりの楽しみだ。

サミュエル・ガーウィズ製の「コモンウエルス」。
この不味そうな缶を見て喫煙したいと思う男は居ないだろう。
しかし、英国北西部レイクランドの古城を素朴に描いた
このタバコは200年も変わらず喫煙され続けている名品だ。
缶に書かれた誇りに満ちた言葉だけで充分なのだ。
レイクランドの心を込めて二百年造っている。
"Manufactured in the heart of English Lakeland for 200 years"

このコモンウエルスの日本での商品説明に、
往年の「バルカンソブラニー」を愛好された方にお薦めする
ラタキア旨味の強い至極の逸品と書かれている。
バルカンソブラニーはパイプタバコとして有名だが、
学生の頃、金色の箱に入った楕円形の紙巻タバコがあった。
ドイツのタバコとして有名で仲間内ではターキッシュと呼んだ。
あの頃の楕円形の紙巻タバコ、バルカンソブラニー
その香りは私を遥か遠い異国の地を旅させてくれた。
そして今、コモンウエルスが昔の旅を甦らせてくれる。

このラタキアの香り、可愛らしさが価値基準の日本では
正露丸の匂いなどと表現されて嫌われている。
家族に嫌われ部屋で喫煙出来ずテラスでは隣家に気兼ねする、
パイプ愛好家の嘆きがブログにも書かれている。
しかし、これぞ正しく大人の香りだと私は憧れている。

飛行機を降りた異国の空港で最初に匂う微かな香り、
精悍な英国の老紳士が秘かに漂わせているような香り、
とでも表現すれば良いのだろうか・・・


一年後の感想:
葉巻には無い芳香と、最初は気に入ったラタキアも、
今では好きな香りでは無くなった。
まだ、ヒュミドールに二缶残されている。


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