2013/01/10

ハバナとマニラ葉巻、半世紀前の空箱。






この古びた箱はNYKの船医だった叔父から貰った。
1960年代初頭の葉巻の空箱である。
華やかだった戦前の豪華客船時代の話を叔父はよく聞かせてくれた。
映画「海の上のピアニスト」(リンク)を観た時、
船から降りること無く死ぬまで船医であり続けた叔父の
世俗を離れた生き様がオーバーラップして僕は涙した。

葉巻を愛好するようになったいま見ると、
叔父の好みが解る様で、ダンディだった姿が目に浮かぶ・・・


H.UPMANN 25 Paneters Box

現在、アップマンのレンジにパナテラは存在しない。
Corona Junior (114 x 14.29mm)よりも少し長い葉巻だった様だ。
箱の内寸:12.6mmから葉巻の長さが推定出来る。
この箱の外寸は135 x 187mmである。

現在のアップマンとの違いは、側面に貼られた楕円形のシール。
そして、ミシン目の無い保証 シール(182mm x 62.9mm)
ボックススタンプの長さは69mm、過度の使用による摩耗なのか、
HECHO EN CUBA EとAの文字が滲んでいる。
これらは1962年頃に変更されたシールと版の特徴である。
ゴムスタンプで押されたColorado Cellophaneの文字は、
薄色で柔らかい味の葉巻のセロハン包を意味する。



H.UPMANN でPanetelasと呼ばれたのは、
とてもレアな”El Prado” (1960~1980) しか記録には無い。
しかし、箱の内寸126mmでは長さが合わない。
キューバは、革命、アメリカとの国交断絶など激動と混乱の時代、
記録に残されていないのかも知れない。
ケネディ大統領が愛煙したアップマン・ペティコロナスは、
おそらく、これと同じ様な箱に入っていたのだろう。
とすれば、この空箱は多少意味があると言える。
サイズ的には”Belvederes”(39 x 125mm) machine madeや、
”Petit Palatinos”(36 x 115mm) hand madeも考えられるが、
いずれにしても叔父のデイリーシガーだったのだろう

La Flor de la ISABERA Extra Mild 



もう一つは1950年代のタバカレラの箱である。
現在、この”ISABERLA”と言う名の葉巻は存在していない。
”ISABERA"は La Flor de la Isabera 社が
発売したオリジナル・ブランドでタバカレラは親会社だった。
おそらく、チャーチル首相やマッカーサー元帥が
愛した時代のタバカレラと同じ箱だろう。
外形は160 x 210 x 38 mmコロナ25本の箱だが、
現在のコロナの箱とはサイズが違っている。

あの頃、マニラ・シガーと呼ぶ響きには
遥かな南の国を想うロマンティシズムが漂っていた・・・



"Playing Love" from "The Legend of 1900" 
「海の上のピアニスト」
エンニオ・モリコーネの音楽「Playing Love」






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