カラークリップやバーで襟元を飾った昔。

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1930年創業を誇る谷シャツで作った白襟でイエロー地のシャツ。
KKとイニシアルで造った小さなタイタック。

衿羽開きが180度に近いホリゾンタルカラーが全盛で、
カラーバーやカラークリップを見掛け無くなった。
僕はネクタイをキュッと絞め結目を歪めた細長い三角にして
カラークリップやバーで襟元を飾るのが好きだった。

ネクタイの結目で初対面の人の性格は判断出来る。
キツく小さく結ぶ人は神経質。ゆるく大きく結ぶ人は無頓着。
正三角形に結ぶ人は平凡な人。三角の結目を歪める人はキザな人。
入社試験では相手の会社に合わせてネクタイを結べと、
大学を出て就職する時に先輩から教わった。
この判断は、その後の会社経営でもずいぶん役立った。

長年の経験からネクタイ結目の極意を伝授する。
高めの襟台のシャツに結目を少し歪めて小さく絞め、
タイタックで少しタブらせるとリズムが出て粋になる。
タックの留め位置は真中より少し横にズラす。
とにかく左右シンメトリーになるのを避けるべきだ。
勿論、襟がワイドスプレッドでも同じだ。
真面目人間に見られたい人は逆にすれば良い。

これは日本の着物・藍大島の着流しで、
角帯を歪めて絞める商人結びの粋さにも通じる。

もう、ネクタイをする様な機会も少なくなり、
歳と共に首が細くなって似合わなくなってしまった。
ホテルマンのタキシード姿がサマになる様に、
常にネクタイを絞める様に心掛けないと
結婚式で着慣れない礼服を着た田舎の年寄りの様になる。
それもまた素朴で微笑ましくて好きだが・・・


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