2013/08/14

父が残したパレトナイフで、僕は絵を描いている。





















戦死した父は軍人だったが趣味で油絵を描いた。
私は、父の油絵を一杯飾った部屋で子供時代を過ごした。
父の絵具箱に入っていたパレットナイフ。
このパレットナイフで、今も私は絵を描いている。

1945年8月14日、日本は無条件降伏を連合国に通告。
翌15日、天皇の放送により国民に公表された。

いつも、母が小さく口ずさんでいた唄「出船」を聴こう。
父が戦地に向かう時、母は出征祝いの客の接待で、
出航する港へ、父を見送りにも行けず
台所で客のお茶を入れていたと言う。
それは、軍人の妻としての母に対する
死を決意した父の愛に満ちた思いやりだった。

そして、父の軍服だけが帰って来た・・・

「今鳴る汽笛は 出船の合図」
口ずさむ母の想いは、子供だった私にも通じた。

  今宵出船か お名残り惜しや
  暗い波間に 雪が散る
  船は見えねど 別れの小唄に
  沖じゃ千鳥も 泣くぞいな

  今鳴る汽笛は 出船の合図
  無事で着いたら 便りをくりゃれ
  暗いさみしい 灯影の下で
  涙ながらに 読もうもの


出船 勝田香月作詞 杉山長谷夫作曲 
テノール 井原義則 ピアノ 林こず恵







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