2013/03/10

ウイーン世紀末芸術の残り香と共に届いたパイプ。


写真は"GUSTAV KULIMT" von Angelica Baumer著の画集


先日購入したビング・クロスビー・シェイプのパイプは、
表面がザラザラした黒いサンドブラスト仕上げだった。
このシェル・ブライヤーと呼ぶマチエールも重厚で美しいが、
イタリア・ミラノの名店"Al Pascia"(リンク)の映像で
艶のあるブリエール仕上げの4110が存在することを知った。
ブリエールの細長いシェイプが実に美しい。




同じシェイプでシェルとブリエールをセットで持てば、
この2本とカナディアン2本とのローテーションでパイプは完了だ。
でも、ミラノの"Al Pascia"に在庫は無かった。
海外のタバコ店をネットで隅々まで探し続けたら、
ウイーン(ヴィエナ)のタバコ店に奇跡的に1本だけ残っていた。
Dunhill Bruyere "Bing Crosby" 4110 Silver ring made 2010。



2012年のシェルの箱は天板に白くThe White Spotのロゴが入るが、
2010年のブリエールの箱は型・素材・中袋と全て同じだが、
まだ正面サイドにDunhllのロゴが入り天板は無地である。


The Austrian Pipe-Embassy "Pfeifenkonsullat" (リンク)
Herbert Schober Handels GmbH
1879年創業と誇らし気に書かれているが、
ヨーロッパを支配したハプスブルク家の悲劇が始まった頃だ。
そして、ウイーン世紀末芸術が花開いていた頃だ。
サラエヴォ事件、第一次大戦、激動の時代を生き抜いたタバコ店。
「シシィ」と愛称された美しいエリザベート王妃の乗馬姿、
グスタフ・クリムトやエゴン・シーレの絵画、
ブラームス、ブルックナー、マーラーなどの音楽、
ヨーロッパ芸術が爛熟し凝縮したヴィエナの街。
画家クリムトが立ち寄ったかも知れないタバコ店なのだ。

もう、私はパイプの事はどうでも良くなって、
ヴィエナの歴史あるタバコ店で買物をする事の方が重要になる。
むかし学んだドイツ語の定冠詞の変化 「Der Des Dem Den」を
思い出しながら注文欄に記入し、
店からの注文番号とPeyPalの支払通知メールが届いた時は
ホッと安堵してベッドに潜り込んだ。


"Sissi "Empress Elisabeth of Austria


EMSで小包番号を追跡しながら私は待ち焦がれた。
そして今朝、その小包は配達された。
かって憧れたウイーン世紀末芸術の残り香りが隠った小包が、
極東のこんな山奥の小屋に送られて来た。
もう2度と訪れることも叶わないだろうヴィエナの空気が、
パイプから静かに流れ出して部屋の空気に融ける。
私は美しい街ヴィエナを訪れているような気分になって、
ドミンゴの歌声に合わせて唄い、ペペとワルツのステップを踏む
ラ〜ラ・ラ・ラララ〜「わが夢の街ウイーン」を・・・

このブログが縁でポルトガルからメールを下さり、
パイプ喫煙の悦びを、さり気なく私に伝えて下さった
ポルトガルの友人(リンク)に感謝しながら・・・




ロシア出身のソプラノ:アンナ・ネトレプコ。
メキシコ出身のテノール:ローランド・ビリャソン。
今を代表する若い二人の歌手を、
偉大なテノール:プラシド・ドミンゴが盛り立てて、
いたわる様に歌う姿が実にスマートだ。







No comments:

Post a Comment