2012/03/18

"Dancing in the Dark"

1950年代のミュージカル映画を担ったフレッド・アステア。
洗練と品格を兼ね備えた20世紀を代表する天才ダンサーであり、
正統派ファッションに於ける「粋」の象徴だった。
そして、フレッド・アステアの服装術は男達の教科書でもあった。
彼の服は、ダンスでの激しい動きでラインが乱れない様に、
最大限に工夫され誂えられていた・・・。




"Dancing in the Dark"
このセントラルパークでのダンスパーティの雰囲気は、
むかし神戸にあった藤田ガーデンを想い出させるー
ーー
瀬戸内海を眺める須磨山の散歩道の樹々には提灯が灯り、
所々に置かれた白いラブチェアーが揺れていた。
フロアーではスイングバンドがラブソングを演奏し、
お酒と食事とダンスを楽しめたが、
そんな良き昔を知るのは、もう僕だけかも・・・。



スーツの着こなしやフェードラの被り方などを、
こんな映画のシーンから当時の男達は学んでいた。

現代の男の服飾には商業主義が入り込み過ぎている。
アパレル業界は販売促進を狙って流行をアピールするから、
似合う似合わ無いに関わらず
男性が流行とブランドで服を選ぶ時代になってしまった。
例えば、1990年代のイタリアのL'UOMOを見ればよく解る。
ダブダブの服の袖をまくって着るのが良いとされた。
でも今はツルツルテン(小さく貧相な意)の服が流行だ。
いずれ、ダブダブの服に戻さなければ、
アパレル業界は冷え上がるから今は立案中なのだろう。
その流行サイクルも短くなっている。
18世紀後半に英国で紳士服の規準を創ったと言われる
代表的人物 Beau Brummell(洒落者ブランメル)以来、
男の服飾は文明の進化による必然から簡素化されて来た。
その最大要因は戦争と交通機関の変化であった

しかし、現代の様な商業主義の為の変化に乗せられては、
紳士たる者の面目が保てないと思うのだが・・・。

...

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