カルバドスと言えばレマルクの小説「凱旋門」
レマルクと言えば名作「西部戦線異常なし」
「凱旋門」でカルバドスが呑まれるのは
第二次世界大戦勃発直前の混乱したパリでは
ブランデーの入手が困難だったため
代わりにカルバドスが呑まれていたと聞いた
凱旋門は1948年にアメリカで映画化され
バーグマンの魅力と共に日本でも話題になった
1952年サンフランシスコ講和条約が結ばれ
やっと日本の敗戦状態が終った年である
いま考えれば単なるメロドラマでしか無いが
まだ敗戦の荒廃が残っていた当時の日本で
映画こそが過去の抑圧を癒す美酒だった
同じレマルク作の「西部戦線異常なし」は
第一次世界大戦の従軍体験を書いた長編小説で
1929年に発表されたベストセラーである
翌年にはアメリカで映画化されて
第3回アカデミー賞作品賞と監督賞を受賞した
しかし強烈な反戦思想に貫かれた作品は
覇権主義が当然とされた欧米で物議を巻き起こし
ドイツでは流血騒動が起きて上映禁止となり
作者レマルク自身もスイスに亡命した
驚く事に戦前の日本でも公開されそうだが
当時は日 英 米 仏 伊のロンドン軍縮会議が開かれ
浜口首相が狙撃されて重傷を負った年である
まだ思想弾圧や言論統制が始まる前だったのだろうか
1955年に出版された新潮文庫 (秦豊吉訳) を
中学生だった僕はむさぼり読んだ
ほろ甘いカルバドスを飲みながら思う
第一次世界大戦も第二次世界大戦もそうだった
いつの時代も今もマスコミの偏向報道に煽動され
過ちを繰返す愚かしさを虚しく憂う
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