2010/09/06

絹のラッパーを持つ葉巻



偉大なるドン・アルファンド・ロバイナ翁
その煙草栽培一筋の人生を刻み付けた顔の深いシワは
生きる意味を 僕に語りかけてくる

絹の様に滑らかなラッパー(表皮)を持つ葉巻として
ヴェガス ロバイナは世界の愛煙家を唸らせる
葉巻一本一本にロバイナ翁の心が宿っているからだ
ロバイナ翁が始めて葉巻を吸ったと言う10歳の時から
最高品質の煙草栽培を求めて心血を注ぎ
やがて世界一の品質を誇る40エーカーの農園に発展
ロバイナ農園でしか収穫出来ないと称えられる
比類の無い美しい煙草葉を生み出した

カストロ首相は最高の煙草栽培者として賞賛し
唯一栽培者自身の名を冠した葉巻を世に出すため
キューバ政府と英国の帝国タバコグループの
合弁事業として1997年ヴェガス ロバイナを誕生させた
(べガス ロバイナとはロバイナの農園の意味である)
ロバイナ翁は輸出促進大使にも任命されて貢献
スペイン国王を始め世界の要人や各界の名士が
ロバイナ翁のサインの入った一箱を求めたと言う
しかし そんな賞賛と名声にも関わらず
ロバイナ翁は小さな40エーカーの煙草農園で
農夫として時間を過ごすことを好んで世を去った

91年間に渡るロバイナ翁の生涯を紹介した
今年4/19日付ニューヨークタイムズ紙の追悼文を知り
国交の無いキューバの一農夫の業績にも深く敬意を払う
ジャーナリズムの質の高さを羨ましく感じた
ヴェガスロバイナを僕はどうしても味わってみたくなり
先日届いたばかりのソレにワクワクと火を付けた
湿度も熟成も良さそうに思えたが期待外れだった
ドローが良過ぎるからか何だか虚ろな煙
今日は吸い口のカットを小さくして試してみた

木質系と大地の様な芳香に満ちたコクに
甘みを抑えた上質だが強烈な深い味わい-などと
評論家の様な空虚な言葉では語るまい

ただ一言 男の生き様を感じる芳香
そして翁の顔に刻まれたシワの意味を悟った


...

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