2013/06/21

パイプ喫煙は、芳香をたのしむ為だけでは無い。


"Charles Augustus Milverton meets his doom" Pinterest ((link)より転載。
「犯人は二人」の挿し絵:依頼者エヴァ・ブラックウェル嬢。


Peterson Sherlock Holmes The Milverton

友人Hさんが訪れた時、シャコムのパイプを使っていた。
フランスの「シャコム・アニバーサリー1990」。
オイルフィニッシュでトップに銀リングを持つスクエア・シャンク。
顔色に合わせた地肌色の小振りなパイプは、
パイプの存在感を薄め、若く長身の彼の姿をより引立てていた。
それは、彼が持つ美意識からの巧みな演出なのだろう。
私もスクエア・シャンクのパイプが欲しくなった。


Chacom Anniversaire 1990

ロンドンで恐喝を代理業とする悪名の高い
「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」の名から、
"The Master Blackmailer(恐喝王) : C.A. MILVERTON"
「ミルバートン」と名付けられたピーターソンの
シャーロック・ホームズ・シリーズのパイプ。
なんと英国的ジョークに満ちたネーミングなのだろう。

獰猛なスクエア・シャンクとベントしたマウスピース。
まさに、悪者ミルヴァートンを連想させる。
恐れながらも、いつしか魅了されてしまう悪の華の様に、
私は虜になってしまった。
しかし、サイズはXLボールで重量70gもある


ミルヴァートンは、アーサー・コナン・ドイルの
シャーロック・ホームズ・シリーズの短編「犯人は二人」
"The Adventure of Charles Augustus Milverton"
に登場する人物の名前である。
1905年の第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還」
”The Return of Sherlock Holmes"に収録されている。

若い方々にはイメージが沸かないと思うが、
我々の世代では誰もが知る悪者の象徴であった。

パイプの名門、アイルランドのピーターソンは
シャーロック・ホームズ・シリーズで知られている。
それぞれのパイプは、その雰囲気から
ワトソン、プロフェッサー、ベーカーストリートなど、
物語りに因んだ名でシリーズを構成する。
その中に「ミルヴァートン」は潜んでいた。

パイプ喫煙と言う嗜好が持つ意味、
それは、単にタバコの芳香を満喫する為だけでは無い。
パイプを収集したり鑑賞する為でも無い。
巷に溢れる低俗なTVや世事から逃避する為である。






2 comments:

H said...

逃避する為である・・・・まさにその通りですね。
レスポールのTiger stripeのような趣
良心を少し売り渡しても・・・

pepekeiji said...

Hさん。

レスポールのタイガーストライプの趣・・・
素晴らしい比喩〜 お詳しいんですね。
あの澄み切ったレスポールの音は、
若い頃の僕の心に突き刺さるようでした。

四角シャンクならミルヴァートンと思ったのですが、
重過ぎて顎が外れそうなので止めました。
結局、同じ2010年のスムーズをもう一本追加注文。
サンドブラスト2本、スムーズ2本になりました。
スクエア・シャンクは、未だ憧れのままです。

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