2013/06/01

大きな白いレンガの様な窓の無い家。




大学時代の美術部OB展に出展する絵に付いて
九州在住の画家に女性を描いた絵を出すと話したら、
止めなさい。女の絵なんか星のほどある。
テクニックがどんなに洗練されていてもナンセンス。
自分にしか描けない世界を描いた絵にすべき。
クルマと男の関わりを描いた絵の方が良い、と言う。

ハッと、私は目が覚めた思いだった。
いつの間にか、私は観念的な絵を描き技巧に溺れていた。
私にしか描けない、私らしい世界。
そのために山小屋で一人暮らしを始めたのに・・・

昔、TVコマーシャルの撮影でハワイの海に行った時、
ハワイ在住の写真家にスチール写真を依頼した。
彼は白い壁の窓の無いレンガの様な家に一人で暮らしていた。
広いサロンの隅に置かれた豪華なテーブルとソファー以外に
装飾は無くテーブルに数冊の写真集が置かれただけで
重い木のドアの金具がアクセントになっていた。
それは、ソフィスティケートされた彼の感性を物語っていた。

若かった私は圧倒され、憧れた。そして全てを真似た。
麻布の私のオフィスもコンクリート打ちっ放しの壁に合わせ、
銀と黒のテーブルとソファーを置いていた。
そして、そんな生き方を夢見て山で暮らし始めたのだ。
もう一度、振り出しに戻ろう!



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