2012/08/15

母が書き写して呉れたザラ半紙の教科書。



終戦の年、僕は小学一年生だった。
日本中が飢えて栄養失調で路上に行き倒れる人も多かった。
小学校で使う教科書すら無い時代だった。
母がザラ半紙にエンピツで書き写し綴じてくれた教科書。
お椀に乗った一寸法師の挿し絵も描いてくれた。
教科書を書き写す余裕のある家庭は少なかったから、
数冊のザラ半紙の教科書を数十人で取り囲み勉強した。

担任の先生は3人分の弁当を作って来て、
弁当を持って来れない生徒にコッソリと渡していた。
火の用心などの懸賞ポスターで入賞し僕が貰った
知事賞などの賞品「サクラ・クレパス」は、
親に買って貰えない生徒に渡すため先生に預けた。
だから僕はポスターを頑張って描いた。
空襲で家を焼け出され屋根代わりに橋の下に住む
友達も居たが誰もが暖かく接した。
空腹を抱えてはいたが、心は暖かく満たされていた。

終戦記念日、心から戦没者を追悼するため、
国の経済安定や成長を目指すよりも
心と命を大切にする社会を目指し再出発して欲しい、
と願わずにはいられない。

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