2012/02/14

"This we change. This we don't."

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アウディ・メルセデス・ポルシェ・ワーゲンの生みの親であり、20世紀最高の自動車設計者と称えられるフェルディナント・ポルシェ博士(リンク)と長男フェリー・ポルシェ氏。写真下はポルシェ博士とフェリーの少年時代。


学生時代に新車で購入し37年間走行距離38万キロと言う
ボロボロのナンバープレートを付けた一台のVWビートルが、
これまでの僕の価値観を変えてしまった。


消費者は神様と言う様な商人的発想では無く、
車造りのプロフェッショナルとして、
未来を見据え、社会に貢献し得る車造りを追求する。
そんな企業哲学を孤高に貫くドイツ自動車産業。
その誇り高い姿勢に感動すると共に、
自身の生き方の規範にしなければとも思う。

1938年の生産開始以来、VW Beetle Type1は、
2003年まで生産が続き単一車種としては世界最多の
生産総数2,152万9,464台もの記録を打ち立てた。
そしてNew Beetleに受継がれたが
デザインは旧Beetle をモチーフとし不変である。
その頑なまでのフォルムの継承は、
1919年に興った技術と芸術の統合を目指したデザイン運動
ドイツのバウハウス(リンク)の伝統だろうか。

"This we change. This we don't."
1960年代、ビートルは広告で高らかに宣言した。
時代に合わせ積極的な技術革新は進める。
しかし外観のデザインは変えない!
あれから半世紀、未だビートルは消費者を裏切ってはいない。


かって名車ランチア・ラムダを生み出したイタリアは、
モータースポーツやエキゾチックカーの分野で
マセラティやフェラーリを国の誇りとして守っている。
かって名車ブガッティやドラージュを生み出したフランスは、
人間のより良き道具としての実用車の分野で
シトロエンやルノーを国の誇りとして守っている。

これまで英国のクルマが好きだったが、
今や、ブランド名は残るが何処の国のクルマか解らない。
伝統と格式を重んじる英国と言われるが、
デイムラーのライセンスで車造りを始めた国だから、
日本の車と同じ様に商業主義が優先され、
自国の製品としての誇りなど無かったのだろうか?
勿論、国際経済の歴史的流動とは解ってはいても、
ガッカリさせられる。

やはり市場で永く存続し得る企業とは、
市場に媚びる事では無く、
企業理念を誇り高く貫き通すことなのだ。



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