2011/06/13

エキセントリック・アイビーのスーツ


写真は1960年初期の雑誌エスクァイアの
"The Seven Steps to Elegance"
と題したファッション特集の古い切り抜きから
写真のみを並べて複写したものである

若い方には理解出来ないだろうが
まだ米軍を「進駐軍」と呼んでいた頃の日本
2ヶ月も掛かって届く雑誌エスクァイアは
とても貴重な資料だった

日本で最初の洋服屋と言われる神戸の高山洋服店に
こんな雑誌を見せて僕は服を誂えていた
まだ既製服は「ツルシ」と蔑まれていた頃である
高山の店主は「こんな既製服のどこが良いのだ」
と嘆きながらも僕の望みを叶えてくれた
老舗の高山洋服店が誇っていた技術は
クジラの尻尾で出来た繊維の芯地を使って出す
綺麗な胸のドレープだったのだから・・・

あの頃はモダンジャズを「ダンモ」と呼んだが
ジャズを聴かせる喫茶店が多かった
エキセントリック・アイビーと呼ばれて
当時のジャズ・メン達が好んだ極度にラベルが細く
3ボタン間隔が異様に広いスーツを着込んで
大阪難波の「バンビ」などに入り浸り
ウエストコースト・ジャズに酔いしれた
それは教授達の退屈な講義より
あの頃の僕には勉強になったから・・・


懐かしいビル エヴァンスの「デビーのワルツ」

...

No comments:

Post a Comment